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キンメダイ (平成16年9月7日 掲載)

標識放流で長距離移動判明

標識の付いたキンメダイ

標識の付いたキンメダイ

多くの魚は、季節の移り変わりや、自らの成長に応じて移動し、棲み場所を変えながら一生を過ごします。漁業の対象となる魚の場合、その魚の移動経路を知ることは、効率的な漁獲をするためにも、資源を上手に永く利用するためにも重要です。

一生に移動する範囲は魚種によって様々ですが、水深200〜800mの海山で漁獲されるキンメダイは、かつては、海山に留まって、あまり移動しないと考えられていた魚の一つです。ところが、千葉県から本県にかけての沿岸で行なわれてきた標識放流によって、実はそうではないことが明らかになってきました。標識をつけて放流した魚は、放流後1〜2年の間は、ほとんどが放流場所の近くで発見されますが、放流後の期間が長くなるにつれ、次第に放流場所から離れた所でも発見されるようになり、南は八丈島や鳥島沖まで、西は室戸岬沖から奄美大島沖、さらには沖縄の宮古島沖までと意外にも長距離を移動していることがわかってきました。

キンメダイを永く利用するための資源管理の取り組みは、これまで千葉県から本県の沿岸と伊豆諸島周辺という限定された範囲の中で行われてきましたが、このようにキンメダイが長距離を移動しているとなると、今後はもっと広い海域を視野に入れた取り組みを行っていく必要があると思われます。キンメダイは、漁獲の対象になるまでの幼期をどこで過ごしているのかもよくわかっておらず、移動に関してはまだ謎が多く残されています。

さて、このキンメダイ、日本近海だけではなく世界中の海に生息しています。しかも、遠く離れた場所に棲むキンメダイの間でさえも、今のところ遺伝的な違いが見つかっておらず、これは、キンメダイが広い範囲で交流している可能性があることを意味します。もしかするとキンメダイの移動の範囲は「日本」という枠を越えたものかもしれません。

(水産試験場伊豆分場 副主任 飯田益生)

 

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