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深層水の魚類飼育 (平成15年11月4日 掲載)

ガス病対策と温度調整

深層水の魚類飼育

駿河湾深層水水産利用施設

このたび、新焼津漁港内に県の「駿河湾深層水水産利用施設」が完成し、平成16年4月の運用開始をめざして、設備調整と試運転を行っています。今回は、深層水を使ったこの施設の魚類飼育についてお話しします。

きれいな表層水が入手しにくくなっている昨今、深層水の取水供給施設には海水魚の飼育水として深層水を取りに来る方も少なくありません。しかし、深層水を使って魚類を飼育する場合、汲み上げ直後の水を使うことには注意が必要です。

と言うのも、深層水の水温が5〜10℃と、表層水よりもかなり低いことに加え、他にも『酸素が少ない』『窒素、二酸化炭素が多い』『pHが低い』などの水質の違いがあるからです。

太陽光が届かない深層水中では、植物による光合成が行われず、酸素は消費される一方のため、表層の半分以下に減少します。一方、水圧が高く、低温のため、窒素や二酸化炭素などのガスは表層よりも多く溶け込んでいます。表層よりも二酸化炭素が多いことで、深層水はpHが低くなります。pHが低いと、貝類では殻の成長に障害が起きますが、魚類では特に問題になりません。しかし、汲み上げられた深層水では圧力が下がるため、ガス類が液体中に溶け込んでいられず、魚の血液中で気化して血管を詰まらせる、いわゆるガス病を引き起こします。

このため、駿河湾深層水水産利用施設では、受水槽に取り込んだ深層水に曝気(ポンプにより強制的に通気させること)処理をします。曝気により20分くらいで酸素は100%近くまで溶け込み、過剰な窒素なども気化してしまいます。

さらに、表層水との熱交換を行い、深層水の温度調整を行います。687m深層水の水温が5℃、398m深層水が10℃ですが、表層水の熱で10℃上昇させ、それぞれ15℃と20℃にします。表層水の温度が低いときはボイラーにより加温します。1,800uもある飼育棟内では温度の違う4種類の深層水と表層水が、どこでも使えます。熱をとって冷えた表層水も、屋外水槽の飼育水として再利用します。

このようなシステムにより、様々な魚類を清浄な深層水で飼育することが可能となります。家庭の海水魚飼育に使う際には、車で揺られながら持ち帰ることで、曝気と同じ効果がありますので、ガス病の心配はありません。

(水産試験場主任研究員 青木一永)

 

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