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夏の魚イサキ (平成15年10月7日 掲載)

伊豆半島南北で漁獲に違い

夏の魚イサキ

夏の魚イサキ

夏に旬を迎える魚といえばイサキと答える人は多いでしょう。イサキの子供は"うりんぼう"と呼ばれ、茶色の体にしまが何本かあり、猪の子供のような配色をしています。これが大人になるとしまも消え、体全体が茶色になってきます。イサキの仲間はたくさんいますが、イサキ属にはイサキ1種しかいません。イサキはタイに似た形をしており、多くの人に好まれています。イサキの仲間はよく見ると鱗が体の後ろに行くにしたがい徐々にせりあがっていくように並んでいるという特徴があります。骨が硬く、料理するときには包丁を壊してしまうこともあり"なべこわし"などと呼ばれることもあります。

イサキの多くは釣りで獲られますが、幼魚は定置網にまとまって入り、利用価値がないことから、"ごっそり"と呼ばれ、かえって邪魔者扱いされることすらあります。

イサキの産卵期は6〜7月、卵は分離浮遊卵といってばらばらになって海中に漂っています。生まれた稚魚は1年で約15cm、2年で18cm、3年で22cmと成長は遅く、30cmを越えるような大きなイサキは6年は経っていると推定されます。イサキは伊豆半島の先端では多く見られますが、標識放流の結果、あまり移動はせず、石廊崎から神子元島の海域に生活していることが分かっています。

また、イサキは夏の魚ということで、釣りではたしかに夏に多く釣れますが、定置網ではそうとは限りません。特に伊豆半島の北に位置する定置網では夏よりも秋から冬にかけて多く漁獲され、夏の魚というイメージはありません。伊豆半島の南に位置する定置網では夏から秋にかけて連続して漁獲されており、伊豆半島の北と南では漁獲の状況が異なっています。その理由は良く分かりませんが、海域による魚の移動の違いが現れているものと考えられます。

いずれにしても、イサキは多くの人に好まれ、市場価値も高く、重要な魚の一つです。近年は若干ですが漁獲量が減少気味で、資源の有効な利用と回復のための方策も必要ではないかと考えられます。

(栽培漁業センター主任研究員 川嶋尚正)

 

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