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ビンナガ (平成15年7月1日 掲載)

夏から秋が旬の人気商材

ビンナガ

ビンナガ

マグロ類は世界中で7種類いますが、ビンナガはその中では最も小型の種類です。熱帯から亜寒帯域に分布し、体長120cm、体重40kgほどになります。スーパー等ではトンボマグロ、ビンチョウの名前で売られているので、このような名前の方が皆さんには馴染み深いと思います。大規模な回遊をし、未成魚は夏季には日本の沖合を北上し、冬季には南下します。主に沖合いを生活圏とし沿岸域に姿を現すことは少ないため、沿岸にも回遊するクロマグロなどの泳ぐ姿が水族館で見られるようになった現在でも、生きている状態で見ることはまずありません。ビンナガは、以前から油漬け缶詰の原料として利用されてきましたが、最近は、刺身としての利用が著しく増加しました。

ビンナガは冷凍で流通することが多く、スーパー等で周年売られているため、一年の内で最も美味しくなる時期「旬」を感じることは少ないと思います。しかし、ビンナガにも脂がのり美味しくなる「旬」があります。ビンナガはカツオと同様に春から夏に日本の沖合いを北上回遊し、この時に盛んに餌(主にカタクチイワシ)を食べます。そのため、夏から秋にかけて、肥えて脂ののった魚が多くなります。身の色は脂がのることによって、それまでのピンク色から白っぽい色になり、スーパー等でトロビンチョウ、トロトンボの名前で売られる人気商材となります。つまり、夏から秋、それがビンナガの「旬」なのです。

焼津港は遠洋一本釣漁船の全国一の基地となっています。これらの漁船は日本の東方2,000〜3,000km沖合でビンナガを主体に操業しています。そのため、夏から秋には脂ののった「旬」のビンナガが焼津港に盛んに水揚げされています。最近では、おいしい刺身になる魚を捕るため、脂がのったビンナガの漁場を探すことが重要となっています。水産試験場では毎年調査船富士丸によりビンナガの漁場調査を行い、ビンナガの資源研究や一本釣り漁業の操業支援をしています。今年も、富士丸は脂がのり「旬」を迎えるビンナガの漁場を探すため、8月中旬から1か月間の予定で北海道のはるか沖合いに向けて出港します。

(水産試験場 副主任 増田 傑)

 

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