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カツオの成熟と回遊 (平成14年7月1日 掲載)

本県近海で群れ二分

カツオの移動モデル

カツオの移動モデル
(▲:未熟個体 ●:成熟個体)

カツオは全世界の熱帯域から温帯域にかけて分布しており、古くから、日本人によってマグロ類よりもよく利用されてきた魚です。静岡県は全国でも有数なカツオの水揚量を誇り、水揚げされたカツオは、主に鰹節、タタキの原料、刺身などとして利用されています。今回は、静岡県近海で漁獲されるカツオの移動についてお話しします。近海カツオと言うと、一般に上りカツオが獲れる春の魚との印象があると思います。事実、静岡県でも春に近海カツオの水揚量が最も多くなりますが、夏から冬にも量は少なくなるものの水揚げがあり、ほぼ周年、近海カツオが水揚げされています。これは、静岡県の近海は南方から日本近海へカツオが北上する経路の一つであり、さらに、伊豆・小笠原諸島周辺は浅瀬が多くカツオにとって住みやすく、周年分布するのに適した条件に恵まれているためです。

一般に、日本近海に来遊するカツオの移動については、春に熱帯域から北上し、夏には餌が豊富な三陸沖まで達し、活発に餌を食べて体を太らせ、秋には、再び南の海域へ南下することが知られています。しかし、静岡県の近海では、夏以降もカツオが分布していることから、それらとは、少し違った群がいると考えられていました。最近の研究によって、春に南の海域から北上し、伊豆諸島周辺に達した群の一部は、それ以上北上せずにこの海域に留まり、夏には南の海域へ南下している可能性のあることが分かりました。さらに、これらのカツオの魚体を詳しく調べると、三陸沖に回遊した魚に比べ、生殖腺が発達しており、南方海域での産卵に早くから向うものと考えられました。つまり、静岡県近海に春に来遊したカツオは、その後、更に北に行き体に栄養をつけ秋に三陸沖から南下するカツオと、静岡県近海に、留まり卵に栄養を蓄え産卵のため夏に、南下するカツオとに分かれるものと考えられます。なぜ、そのような現象が起こるか不明ですが、静岡県近海は、北上してきたカツオにとって、その後の生活を選択する場所になっているようです。

(水産試験場漁業開発部 副主任 増田 傑)

 

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